2010年 03月 25日
鈴木理恵子ヴァイオリン・リサイタル「植物文様を弾く」-02 |
いよいよ公演が来週に迫ってきました。当日配布されるプログラム原稿ができましたので、演奏曲目とともにプレヴューもかねてお知らせします。
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「植物文様」シリーズ(藤枝守 作曲)から
植物文様第17集 pattern C 〜笙 ソロ
Patterns of Plants, the 17th Collection : pattern C for sho (2007)
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第1番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.1 (1999>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 11th Collection: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第2番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.2 (1998>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 9th Collection: Pattern D”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第3番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.3 (2000>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants,Clavier Selection no.2: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第4番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.4 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 7th Collection: Pattern D”
植物文様第14集 pattern A 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern A for solo violin (2006-7)
植物文様第14集 pattern B 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern B for solo violin (2006-7)
植物文様第14集 pattern C 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern C for solo violin (2006-7)
植物文様第14集 pattern D 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern D for solo violin (2006-7)
<休憩>
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第5番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.5 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern A”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第6番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.6 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第7番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.7 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern C”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第8番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.8 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern D”
植物文様第22集 pattern A 〜無伴奏ヴァイオリンのために (新作)
Patterns of Plants, the 22nd Collection : pattern C for solo violin (2010)
植物文様第22集 pattern B 〜無伴奏ヴァイオリンのために (新作)
Patterns of Plants, the 22nd Collection : pattern C for solo violin (2010)
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第9番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.9 (2008>2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 19th Collection: Pattern A”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第10番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.10 (2008>2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 19th Collection: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第11番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.11 (2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 21st Collection: Pattern A”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第12番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.12 (2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 21st Collection: Pattern B”
鈴木理恵子ヴァイオリン・リサイタル「植物文様を弾く」に寄せて
藤枝守
初めて鈴木理恵子さんにお会いしたときのことは、よく憶えていないのですが、1995年にコンロン・ナンカロウの弦楽四重奏曲の演奏をお願いしたことがありました。その当時、世田谷美術館の「現代音楽講座」の講師を担当していて、海外のあらたな音楽の動向を積極的に紹介していました。自動ピアノの作曲家としてナンカロウの音楽は知られていましたが、器楽作品はほとんど日本で演奏されたことがなく、実際の演奏によってナンカロウの音楽がもつ複雑なリズムの世界にふれてもらおうと思ったのです。この音楽講座を手伝ってくれていた音楽事務所から理恵子さんを紹介していただいき、その素晴らしい演奏にふれることができたのです。
理恵子さんに初めて《植物文様》を演奏していただいたのは、今から十年ほど前。東京・谷中の天王寺で行われた「モノフォニー・コンソート」の公演のときでした。「モノフォニー・コンソート」とは、音律の可能性をさぐるために結成した合奏団のことですが、それ以来、「モノフォニー・コンソート」のゲストメンバーとして、本日と同じ住吉能楽殿や徳島などの公演などに同行していただき、理恵子さんは、この合奏団や《植物文様》の演奏にとって欠かせない存在となったのです。
2006年に東京の自由学園明日館で「植物文様ヴァイオリンコレクション」というコンサートを企画し、それまでの「植物文様」のさまざまな楽曲をピアノや笙の伴奏によるヴァイオリン・ヴァージョンにして、理恵子さんをソリストに迎えました。そのコンサートは、本日の公演と同じ3月末の時期に行われましたが、明日館の庭先にある夜桜をのぞみながらの一晩となったのです。その同じ年に代々木にある「ギャラリー千空間」で「植物文様展」がひらかれ、その折りに無伴奏ヴァイオリンのための《第十四集》を作曲しました。理恵子さんを想定したこの曲では、ヴァイオリンから醸し出される響きの陰影や伸びやかな抑揚、ふっとした間合いなどによって「植物文様」という音楽にあらたな芽生えが生まれました。今回の能楽殿のリサイタルは、「植物文様」のあらたな芽生えを聴いていただきたいという思いで開催されました。
石川高さんによる笙の響きは、時間が止まったかのような静謐のなかに無限の広がりを感じさせますが、その響きの場のなかで、理恵子さんのヴァイオリンが絡み合うようにゆれ動き、そこに可聴範囲を超えた微細なうなりの渦が巻き起こります。このヴァイオリンと笙との二重奏によるバージョンは、今回、あらたに改訂された四曲を加えて十二曲すべてが演奏されます。また、《十四集》に加えて、無伴奏ヴァイオリンのための《第二十二集》から二曲が初演されますが、その一曲目では、アイリッシュ・ミュージックのようなメロディック・ラインが脈絡なく続き、作曲者本人も、このテイストがどこからやってきたのか不思議に感じています。
《植物文様》をいうシリーズを始めて、今年で十五年が経ちました。昨年12月にアイルランド・ダブリンにて「ユロドニー(Yurodny)」というグループによる「植物文様」の公演が行われ、先月には「植物文様」の名付けの親ともいうべき『ケルト/装飾的思考』の著者である鶴岡真弓さんと対談する機会に恵まれました。また、バッハ音律のチェンバロやゴシックハープによって「植物文様」は、蔓が四方に伸びるかのようにあらたに成長を続けています。本日、住吉能楽殿のうえで繰り広げられる理恵子さんや石川さんによる響きの交感が「植物文様」のさらなる増殖と成長に縁のない領域を与えてくれるものと確信しております。
新作の《植物文様第22集〜無伴奏ヴァイオリンのための》の第1曲目の楽譜の冒頭部分。ケルティックな旋律のカーブが特徴的:
■コンサート詳細情報
■チケット購入フォーム
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「植物文様」シリーズ(藤枝守 作曲)から
植物文様第17集 pattern C 〜笙 ソロ
Patterns of Plants, the 17th Collection : pattern C for sho (2007)
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第1番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.1 (1999>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 11th Collection: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第2番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.2 (1998>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 9th Collection: Pattern D”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第3番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.3 (2000>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants,Clavier Selection no.2: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第4番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.4 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 7th Collection: Pattern D”
植物文様第14集 pattern A 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern A for solo violin (2006-7)
植物文様第14集 pattern B 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern B for solo violin (2006-7)
植物文様第14集 pattern C 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern C for solo violin (2006-7)
植物文様第14集 pattern D 〜無伴奏ヴァイオリンのために
Patterns of Plants, the 14th Collection : pattern D for solo violin (2006-7)
<休憩>
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第5番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.5 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern A”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第6番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.6 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第7番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.7 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern C”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第8番
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.8 (1997>2006)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 4th Collection: Pattern D”
植物文様第22集 pattern A 〜無伴奏ヴァイオリンのために (新作)
Patterns of Plants, the 22nd Collection : pattern C for solo violin (2010)
植物文様第22集 pattern B 〜無伴奏ヴァイオリンのために (新作)
Patterns of Plants, the 22nd Collection : pattern C for solo violin (2010)
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第9番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.9 (2008>2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 19th Collection: Pattern A”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第10番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.10 (2008>2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 19th Collection: Pattern B”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第11番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.11 (2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 21st Collection: Pattern A”
植物文様:ヴァイオリンと笙のための二重奏曲集 第12番 (改訂初演)
Patterns of Plants, Duo Collection for violin and Sho No.12 (2010)
--Transcription from “Patterns of Plants, the 21st Collection: Pattern B”
鈴木理恵子ヴァイオリン・リサイタル「植物文様を弾く」に寄せて
藤枝守
初めて鈴木理恵子さんにお会いしたときのことは、よく憶えていないのですが、1995年にコンロン・ナンカロウの弦楽四重奏曲の演奏をお願いしたことがありました。その当時、世田谷美術館の「現代音楽講座」の講師を担当していて、海外のあらたな音楽の動向を積極的に紹介していました。自動ピアノの作曲家としてナンカロウの音楽は知られていましたが、器楽作品はほとんど日本で演奏されたことがなく、実際の演奏によってナンカロウの音楽がもつ複雑なリズムの世界にふれてもらおうと思ったのです。この音楽講座を手伝ってくれていた音楽事務所から理恵子さんを紹介していただいき、その素晴らしい演奏にふれることができたのです。
理恵子さんに初めて《植物文様》を演奏していただいたのは、今から十年ほど前。東京・谷中の天王寺で行われた「モノフォニー・コンソート」の公演のときでした。「モノフォニー・コンソート」とは、音律の可能性をさぐるために結成した合奏団のことですが、それ以来、「モノフォニー・コンソート」のゲストメンバーとして、本日と同じ住吉能楽殿や徳島などの公演などに同行していただき、理恵子さんは、この合奏団や《植物文様》の演奏にとって欠かせない存在となったのです。
2006年に東京の自由学園明日館で「植物文様ヴァイオリンコレクション」というコンサートを企画し、それまでの「植物文様」のさまざまな楽曲をピアノや笙の伴奏によるヴァイオリン・ヴァージョンにして、理恵子さんをソリストに迎えました。そのコンサートは、本日の公演と同じ3月末の時期に行われましたが、明日館の庭先にある夜桜をのぞみながらの一晩となったのです。その同じ年に代々木にある「ギャラリー千空間」で「植物文様展」がひらかれ、その折りに無伴奏ヴァイオリンのための《第十四集》を作曲しました。理恵子さんを想定したこの曲では、ヴァイオリンから醸し出される響きの陰影や伸びやかな抑揚、ふっとした間合いなどによって「植物文様」という音楽にあらたな芽生えが生まれました。今回の能楽殿のリサイタルは、「植物文様」のあらたな芽生えを聴いていただきたいという思いで開催されました。
石川高さんによる笙の響きは、時間が止まったかのような静謐のなかに無限の広がりを感じさせますが、その響きの場のなかで、理恵子さんのヴァイオリンが絡み合うようにゆれ動き、そこに可聴範囲を超えた微細なうなりの渦が巻き起こります。このヴァイオリンと笙との二重奏によるバージョンは、今回、あらたに改訂された四曲を加えて十二曲すべてが演奏されます。また、《十四集》に加えて、無伴奏ヴァイオリンのための《第二十二集》から二曲が初演されますが、その一曲目では、アイリッシュ・ミュージックのようなメロディック・ラインが脈絡なく続き、作曲者本人も、このテイストがどこからやってきたのか不思議に感じています。
《植物文様》をいうシリーズを始めて、今年で十五年が経ちました。昨年12月にアイルランド・ダブリンにて「ユロドニー(Yurodny)」というグループによる「植物文様」の公演が行われ、先月には「植物文様」の名付けの親ともいうべき『ケルト/装飾的思考』の著者である鶴岡真弓さんと対談する機会に恵まれました。また、バッハ音律のチェンバロやゴシックハープによって「植物文様」は、蔓が四方に伸びるかのようにあらたに成長を続けています。本日、住吉能楽殿のうえで繰り広げられる理恵子さんや石川さんによる響きの交感が「植物文様」のさらなる増殖と成長に縁のない領域を与えてくれるものと確信しております。
新作の《植物文様第22集〜無伴奏ヴァイオリンのための》の第1曲目の楽譜の冒頭部分。ケルティックな旋律のカーブが特徴的:
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by mamorufujieda
| 2010-03-25 14:37
| 公演/イベント