2010年 07月 18日
デヴィッド・ダンによるマイクロフォン製作ワークショップに参加して-02 |
ディヴィッド・ダンのマイク製作のワークショップは、7/11の午後から開始。参加者は15名以上。ディヴィッドがあらかじめ用意した製作キットがそれぞれに配られ、まずは、デヴィッドがマイクの種類や材料などにつてかんたんに説明。用途や目的が異なる4つのタイプのマイクが紹介されたが、今回は、そのなかの2つのタイプのマイクを作ることに。そのひとつは、樹木に突き刺して内部の音を聴き出すためのニードル型のマイク。そのニードルの部分には、ローストビーフを作るときに、お肉の内部の温度を計る針状の温度計が使われていた。その温度計を分解して、針状の部分に取り付けてあった細長いバネを取り出し、そして、温度の表示がある小さな円盤を外して、そこに小さな圧電素子を取り付ける。さらに、ケーブルやコネクターをハンダ付けして完成。僕も含めて参加者の多くはハンダ付けが不慣れなため、かなり時間がかかってしまう状況。
次にトライしたのが水中マイク。水道管を塞ぐための円筒形の蓋のようなものを使って、その底の部分にコードをハンダ付けした圧電素子を取り付け、その蓋にミネラル・オイルを注ぎ込む。どうして、このミネラル・オイルを使うか、いまいち不明なのだが、振動の伝わり方に作用しているようだ。そして、ニードル・タイプと同じようにコネクターを取り付けて完成。このように作る手順だけだとかんたんにみえるが、かなり細かい作業があり、予定された時間をオーバーしても、完成しない人も多かった。僕もそのひとり。この2つのマイクを使って実際の音を聴いてみることも予定されていたが、時間切れでマイクを作るとこまででこのワークショップは終了。音を聴くワークショップは次回に持ち越しとのこと。
今回のディヴィッドのワークショップは、身のまわりにある安価な素材からマイクを作るというテクニカルなものだったか、そこには、ディヴィッドを育んできた豊かなアメリカの実験精神を感じるのである。ハリー・パーチのように既成の制度にあるツールを否定して、自らの思想を実現できるツールを自らの創意のなかで作り上げるという実践、また、ジョン・ケージがカートリッジ・ミュージックで実践したように、人間の知覚の閾を越えて領域への多大な興味、さらには、ポーリン・オリヴェロスのように「聴く」という行為への絶大な信頼。このような実験精神のなかで実践されたディヴィッドの「マイクロ-リスニング・プロジェクト」から、では、われわれが自らの環境のなかで何を広げていけるのか。この手作りの小さなマイクによって、ディヴィッドは、環境と知覚のあらたな「気づき」の始まりを、われわれに与えようとしているように思える。
マイク製作キット
ディスクにうえでには、さまざまなパーツが。ニードルもみえます。
ミネラル・オイルを注ぎ込んでいるところ。
次にトライしたのが水中マイク。水道管を塞ぐための円筒形の蓋のようなものを使って、その底の部分にコードをハンダ付けした圧電素子を取り付け、その蓋にミネラル・オイルを注ぎ込む。どうして、このミネラル・オイルを使うか、いまいち不明なのだが、振動の伝わり方に作用しているようだ。そして、ニードル・タイプと同じようにコネクターを取り付けて完成。このように作る手順だけだとかんたんにみえるが、かなり細かい作業があり、予定された時間をオーバーしても、完成しない人も多かった。僕もそのひとり。この2つのマイクを使って実際の音を聴いてみることも予定されていたが、時間切れでマイクを作るとこまででこのワークショップは終了。音を聴くワークショップは次回に持ち越しとのこと。
今回のディヴィッドのワークショップは、身のまわりにある安価な素材からマイクを作るというテクニカルなものだったか、そこには、ディヴィッドを育んできた豊かなアメリカの実験精神を感じるのである。ハリー・パーチのように既成の制度にあるツールを否定して、自らの思想を実現できるツールを自らの創意のなかで作り上げるという実践、また、ジョン・ケージがカートリッジ・ミュージックで実践したように、人間の知覚の閾を越えて領域への多大な興味、さらには、ポーリン・オリヴェロスのように「聴く」という行為への絶大な信頼。このような実験精神のなかで実践されたディヴィッドの「マイクロ-リスニング・プロジェクト」から、では、われわれが自らの環境のなかで何を広げていけるのか。この手作りの小さなマイクによって、ディヴィッドは、環境と知覚のあらたな「気づき」の始まりを、われわれに与えようとしているように思える。
マイク製作キット
ディスクにうえでには、さまざまなパーツが。ニードルもみえます。
ミネラル・オイルを注ぎ込んでいるところ。
by mamorufujieda
| 2010-07-18 11:15
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