2007年 03月 19日
よみがえった『響きの考古学』 |
先月2月中旬に平凡社ライブラリーから『増補 響きの考古学』が出版されました。「増補」という文字が表しているように、この本は8-9年まえに音楽之友社から刊行されていましたが、しばらく絶版だったのです。今回は、あらたな内容を付け足し、また、解説に中沢新一さんによる「ラジカルな音楽的思考による探究」も掲載されています。ぜひ、一読を。
『響きの考古学』は、音律という視点から音楽の流れを俯瞰したり、あらたな音楽の実践や方向を読み解こうとするものでした。たしかに、この本が音友から出版された当時から、音律にまつわる状況も変化してきています。バッハの《平均律》は、もう誰も現代の平均律ではなかったということが一般化してきましたし、また、パーチやルー・ハリソン、テリー・ライリーたちのあらたな音律に主眼をおく音楽も広がりをみせています。しかしながら、まだ、ごく一部のなかの特異なテーマとして、いわゆる「囲われた思考」として音律をみている人も多いのです。今回、平凡社ライブラリーとしてよみがえった『響きの考古学』が、また、新たな読者に届けられたり、音律再考のきっかけとなることを願っています。
なお、『増補 響きの考古学』に関しては、富山の「マイルストーン」というギャラリーが発行しているウェブ・マガジンにもコラムを書きましたので、のそいてみてください。
http://www.milestone-art.com/MILESTONES/issue72/htm/p8fujieda.html
by mamorufujieda
| 2007-03-19 19:33
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