2009年 09月 18日
宙づりのモノコード(京都芸術センター)02 |
「宙づりのモノコード」ですが、無事に完成。9月15日から公開されています。展覧会の会期は、10月15日まで。その最終日の夕方、トークをやることになりました。
マイルストーン・アートワークスのウェブ・マガジンの連載の枠に今回の展示作品について書きました。以下に転載します。
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「宙づりのモノコード」
9月15日から「風景の中で」という展覧会が京都芸術センターで始まりました。四条烏丸近くにある芸術センターは、明倫小学校の建物をリニューアルしたもので、発足して10年くらいになるとか。1930年代の建物の外観は残しながらも、ギャラリーや制作室、練習室、カフェなど、さまざまなスペースが無理なく配置されていて、あの小学校のときの「なつかしさ」を感じながら、アートの熱っぽさが伝わってきます。
今回の展覧会のために「宙づりのモノコード」というサウンド・インスタレーションを制作しました。この展覧会は、日常のなかに潜在するものに対して「気づき」をもたらす6つの作品が集められましたが、音を媒体とするものも多かったです。「宙づりのモノコード」は、芸術センターを入り、校庭の縁を歩いた一番奥にある「ギャラリー北」に設置されました。このギャラリーは天井も高く、よく響く空間です。実際に、この空間を下見したときに、以前、六本木ミッドタウンのデザイン・ハブで展示された作品に使った仕掛けを拡張しようと思ったのです。
この仕掛けとは、天井からぶら下がった弦(コード)に電動コイルから交流電流を与えて、その弦を振動させるというもの。その振動は、弦をピンと張るための重しになっている鉄板を響かせます。そのささやくような微かな鉄板の響きは、弦が僅かに揺れることによって抑揚がつきます。全部で8個の鉄板からの響きが重なり合い、さらに、天井近くの弦に付着させた塩化ビニールのシートも呼応するように微かに響きながら、交流電流の振動が生みだしたさまざまなレベルの響きがギャラリー全体に漂ったのです。
以前、この連載でもモノコードをテーマにしましたが、ピタゴラスは言うまでもなく、ロバート・フラッドなどの神秘主義たちに、モノコードは多大のイマジネーションを与えてきました。また、クラヴィコードもピアノもモノコードが変形してできた楽器です。このモノコードを宙づりにしたらどうだろう。そして、そんな転倒したモノコードからどんな響きがきこえてくるのだろう。
その転倒したモノコードからのふるえは、身体全体に圧倒的なリアリティをともなって不思議に迫ってきます。それが、たとえ微かであったとしても、そのふるえに同調していくような感覚となっていきました。おそらく、その感覚は、古代から受け継がれてきたのかもしれません。
展覧会は、10月18日まで。その最終日の夕方にトークも行います。秋の京都にお越しのおりは、のぞいてみてください。
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■マイルストーン・ウェブマガジン
マイルストーン・アートワークスのウェブ・マガジンの連載の枠に今回の展示作品について書きました。以下に転載します。
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「宙づりのモノコード」
9月15日から「風景の中で」という展覧会が京都芸術センターで始まりました。四条烏丸近くにある芸術センターは、明倫小学校の建物をリニューアルしたもので、発足して10年くらいになるとか。1930年代の建物の外観は残しながらも、ギャラリーや制作室、練習室、カフェなど、さまざまなスペースが無理なく配置されていて、あの小学校のときの「なつかしさ」を感じながら、アートの熱っぽさが伝わってきます。
今回の展覧会のために「宙づりのモノコード」というサウンド・インスタレーションを制作しました。この展覧会は、日常のなかに潜在するものに対して「気づき」をもたらす6つの作品が集められましたが、音を媒体とするものも多かったです。「宙づりのモノコード」は、芸術センターを入り、校庭の縁を歩いた一番奥にある「ギャラリー北」に設置されました。このギャラリーは天井も高く、よく響く空間です。実際に、この空間を下見したときに、以前、六本木ミッドタウンのデザイン・ハブで展示された作品に使った仕掛けを拡張しようと思ったのです。
この仕掛けとは、天井からぶら下がった弦(コード)に電動コイルから交流電流を与えて、その弦を振動させるというもの。その振動は、弦をピンと張るための重しになっている鉄板を響かせます。そのささやくような微かな鉄板の響きは、弦が僅かに揺れることによって抑揚がつきます。全部で8個の鉄板からの響きが重なり合い、さらに、天井近くの弦に付着させた塩化ビニールのシートも呼応するように微かに響きながら、交流電流の振動が生みだしたさまざまなレベルの響きがギャラリー全体に漂ったのです。
以前、この連載でもモノコードをテーマにしましたが、ピタゴラスは言うまでもなく、ロバート・フラッドなどの神秘主義たちに、モノコードは多大のイマジネーションを与えてきました。また、クラヴィコードもピアノもモノコードが変形してできた楽器です。このモノコードを宙づりにしたらどうだろう。そして、そんな転倒したモノコードからどんな響きがきこえてくるのだろう。
その転倒したモノコードからのふるえは、身体全体に圧倒的なリアリティをともなって不思議に迫ってきます。それが、たとえ微かであったとしても、そのふるえに同調していくような感覚となっていきました。おそらく、その感覚は、古代から受け継がれてきたのかもしれません。
展覧会は、10月18日まで。その最終日の夕方にトークも行います。秋の京都にお越しのおりは、のぞいてみてください。
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■マイルストーン・ウェブマガジン
by mamorufujieda
| 2009-09-18 13:27
| 展覧会